ホールの中に街が

 

「ホールの中に街があるみたい」とmaekitamさんがInstagramで。なるほど。ぼくも実感。だからみんなソワソワと楽しげにそぞろ歩いているんだ。

昨日、新装なった鶴岡市の新文化会館(荘銀タクト鶴岡)で、これも新しくできた市民歌の発表会を聴く。ホール内のシート配置はいわゆるヴィンヤード。多目的ホールだからステージが中央にあるアリーナ型ではないけれど、ぼくたちにはじゅうぶん新鮮だ。なんていうのかな、ホール自体一つの芸術作品という感じ。空間表現があるんだね。すばらしい。

最初、身の丈に合わないホールができるのか? という思いも抱いていたぼくだった。でもね、発表会で鶴岡南高等学校吹奏楽研究会の演奏が始まるとそんなの吹っ飛んでしまった。すごいよ、彼らは。作曲の新実徳英さんも〈練習で聴いて感動した〉と語っていたけれど、外交辞令じゃないと思う。もちろん鶴岡北高等学校音楽部を中心とした混声斉唱も美しい。鶴岡は音楽の街だ。

だから、ちっとも身の丈に合わないホールなんかじゃなかった。今でも身の丈にあってるし、これからもっと伸ばしてくれるホールになるんだろう。よかった、と素直に喜びたい。

発表会が終わって皆が四方に散っていく。面白いなあ。上の方にいたぼくは背後のドアを開けてホール外の階段をおりたけど、そんな人はむしろ少数かも。何しろホールは「街」だから、帰り道も街中散歩を楽しみながら……。バイパスを急いで降りるのはもったいない? 設計者(妹島和世さん)はそんなところまで計算をして階段の幅を決めているんだろうな。

致道館を間近に臨むホワイエも素敵だ。低い垣根の庭園の緑が美しく、致道館の鄙びた屋根瓦も、風雪にさらされて傷んだような外壁も、いっそ美しい。この空間で市民は自由に憩う事ができる。もしかしたら鶴岡に待ち合わせの文化が戻るかもしれない。またそうなってこそ、市中心部の限られた敷地にあえてタクト鶴岡を作った意味があるよね。と、そんなことを考えた初秋の一日。